『3I/ATLAS』を書こうと思ったきっかけは、
世界のどこかで、
今日も争いが続いているという現実でした。
国と国。
思想と思想。
正義と正義。
人は、
なぜ同じことを繰り返してしまうのだろう。
そんなことを考えていた頃、
「3I/ATLAS」という、
正体のはっきりしない天体の存在を知りました。
彗星なのか。
それとも別の何かなのか。
日本では、
それほど大きく報道されていないことにも、
どこか不思議な感覚がありました。
宇宙から見れば、
地球は、
ほんの小さな星に過ぎません。
その小さな星の中で、
人類は争い続けている。
その姿は、
宇宙から見た時、
いったいどのように映るのだろうと思いました。
近年、
太陽フレアによる電磁波災害の危険性も語られるようになりました。
もし、
人類の文明そのものが、
宇宙規模の出来事ひとつで簡単に揺らいでしまうのだとしたら。
私たちは、
もっと「地球」という視点で、
物事を考える時代に来ているのではないか。
そんな思いも、
この作品の中にはあります。
そして私は、
少し奇妙な想像をするようになりました。
もしかすると、
3I/ATLASは、
巨大な太陽フレアから地球を守ろうとしていたのではないか。
太陽の裏側へ回り込んだ時、
人類には見えない場所で、
何かをしていたのではないか。
もちろん、
科学的な根拠がある話ではありません。
けれど、
もし宇宙から届いた存在が、
人類へ「争っている場合ではない」と伝えようとしていたのだとしたら。
そう考えた時、
この物語を書かずにはいられませんでした。
『3I/ATLAS』は、
未知の天体についての物語ではありません。
宇宙という、
あまりにも大きな存在を前にした時、
人類は、
互いを傷つけ続けるのか。
それとも、
ようやく「同じ星に生きている」ということを思い出せるのか。
その問いを書きたかったのだと思います。